ときにVTuberとして、ときに膝上の美麗なギター弾きとして話題を集めてきた、猫音みる。ついに1stワンマンライブ「-夢みる音と庭の猫-」を、3月29日に渋谷DESEOで開催。ゲストシンガーに、小日向みのり/晴陽かりんが出演。この日の猫音みるは、L’s TRUST制作のオリジナルギターも携えて、登場。当日の模様を、ここにお伝えしたい。

後ろまでしっかりと人の入った場内。その様から、猫音みるへの期待が見えてきた。ライブは、ステージ前方以外を、巨大な白い幕で覆い、その後ろで、猫音みるがギターを演奏するスタイルで実施。幕の前に設置したモニターには、VTuberとしての映像。さらに、ギターを弾く手元アップの姿を同時に、しかもリアルタイムに映し出す形で行われた。
美しいピアノの旋律に乗せて、ゆっくりと幕が上がりだした。その背景に現れたのは、シルエットとモニターに映し出された猫音みるの姿。次第に熱の上がりだすSE。同じように気持ちも高ぶりだす。場内中に鳴り響くハウリングしたギターの音色。そして‥。
激しく駆けだした楽曲に乗せて、猫音みるが荒ぶるリフ音を刻みだし、激しい音を唸らせたのを合図にライブはスタート。冒頭を飾った『とある群青にて』を通して猫音みるは、観客たちの五感を、自身の世界へ早くも引き寄せだす。続く『あの夢、静寂に消ゆ』でも、猫音みるは一音一音に思いを込めながらも、ピックを高速で動かして音を突きつける。モニターを通して。そして、シルエット姿で映しだされる猫音みるの躍動した姿に、誰もが興味の視線を向けていた。
ライブは、ファストなスタイルにまとめあげた楽曲を次々と繰り出す形で進んでゆく。『Static Blue』では、一気に解放感を持った表情を提示。この場にいる人たちの気持ちを、開放的な演奏で解き放っていた。続く『情景のエチュード』では、甘くメロウな。でも、気持ちが高揚する演奏で、観客たちを心地好い空間へ連れだしてゆく。
まだまだ修練中の身だけに、ときに拙さも見えてくるが、そのぶん猫音みるは、アグレッシブに攻めたスタイルで観客たちへ挑む姿勢を示せば、高ぶる思いを忙しく動く指の動きに乗せて響かせていた。それは『Fairy Lord』も。続いて披露した、スケール大きくも野太い音を響かせた『Delta Plus』も、そう。猫音みるは、1曲ごと表情を巧みに変えながら、観ている人たちをいろんな世界へ連れてゆく。速弾きを魅力にした攻撃的な演奏を軸に据えたうえで、いろんな表情の色を見せていた。フレットと弦の上を走らせる手の動きと奏でる音色には、やはり視線と耳を持っていかれる。
勇壮かつスケール大きな『Mystic Thema』では、まるで幻想浪漫な。でも、戦いの地で華やかに気勢を上げる。そんなゲームの世界へ飛び込んだ様も感じていた。だから、気持ちがずっと騒いでいた。続く『青霞にみる』では、青く澄み渡る景色の中へ、勇壮なギターの音色という剣のような絵筆を持って、雄々しい絵を描くように演奏。曲ごとに、いろんな細かい技法を駆使しながら、猫音みるはこの場へ、現実を忘れた、胸踊るファンタジックな世界を描きだしていた。
輝きを放つように走り出した『#ぐーのねってなんだ』では、猫音みるのギターがしっかりと歌っていた。背景に歌声も響かせながら、でも、みずからの音色で歌のリードを取るように。ときにはユニットのように歌を掛け合いながら、歌系の『#ぐーのねってなんだ』に鮮やかな彩りを与えてゆく。いいね、気持ちが踊る。だから場内には、身体を揺らして演奏を楽しむ人たちも、あちこちに誕生していた。

ここまでは、アルバム『I Infinity Strings』の曲たちを収録順に披露。MCでは、この日のライブは、ここへ至るまでの猫音みるの活動の集大成になることを伝えていた。
続いては、YouTube上にアップし続けてきた楽曲を演奏。激しく、しかもアグレッシブに攻める、LOUDNESSのカバー曲となるメタルナンバー『S.D.I』で猫音みるは、終始攻撃的なギター演奏を繰り出し、楽曲とバトルするスタイルを示していた。間奏では、高速で攻めたギターソロも提示。まだまだ荒さや未熟さも見受けられるが、楽曲に負けない攻撃的な姿勢を示しているところが、猫音みるらしいスピリットだ。
同じくLOWDNESSのカバー曲になる、 勇壮かつ激しくもスケールあふれるメタルナンバーの『LIKE HELL』では、攻撃的なギターのリフを次々と繰り出し、観客たちの燃え滾りたい感情を熱く刺激していた。曲が進むにつれ、どんどん激情してゆく曲の様も、感情的な演奏をぶつける猫音みるらしさ?!後半のソロでも、流麗に流れるようにとはいかないながらも、激しくも華やかなソロ演奏を見せていた。
ここで、ゲストシンガーとしてVTuberの晴陽かりんが登場。彼女も、シルエット姿とモニターを通した2つの姿で登場。猫音みると晴陽かりんが最初に共演した曲が、「ぼっち・ざ・ろっく」の中、結束バンドが演奏していた『カラカラ』。ときに拳を振り上げてなど、晴陽かりん自身がライブで歌うことを純粋に楽しんでいた。晴陽かりんの歌声が、本当にエモーショナル。感情の揺れに合わせ、巧みに抑揚をつけて歌うことで、見ている側も同じ感情を共有できる。シルエット姿とはいえ,楽しげに身体を揺らし、ときにはしゃいで歌う晴陽かりんの姿が、嬉しいインパクトを持って見えていた。その姿に刺激を受け、フロアでも手を振り上げて応援する人たちも生まれていた。
続く結束バンドの『星座になれたら』でも、猫音みるは攻撃的かつトリッキーな演奏を見せれば、晴陽かりんはノリノリで歌うことを楽しんでいた。『星座になれたら』では、言葉のひと言ひと言に思いを込め、ときにエモさを発揮して歌う晴陽かりんの声も印象的だった。この曲では、晴陽かりんが観客たちを煽る場面も登場。晴陽かりんと猫音みるの歌とギターの演奏が、互いに色を放ちながらランデブーしてゆく。その様も、胸をスカッとさせる心地好い響きを放っていた。
疾走するアッパーなパーティーチューンの『うっかりさんさんで』は、猫音みるのオリジナル曲。初見で触れても気持ちがはしゃぐ楽曲のように、フロアでは晴陽かりんの振り上げる腕の動きに合わせて一緒に腕を振り上げれば、爆走する演奏に乗せて身体を小刻みに揺らして熱狂する人たちがあちこちに登場していた。この曲で魅せた激しく音を刻む猫音みるのギターの演奏が、本当に胸をスカッとさせる。きっとこれが、猫音みるの得意なスタイル?!まさに、”らしさ”を思いきり堪能できた楽曲だ。
晴陽かりんに続いて登場したのが、コスプレイヤーでグラビアアイドルの小日向みのり。唯一、彼女だけが観客たちを前にしてのライブ姿を披露。MCでは、晴陽かりんと小日向みのりのトークの共演も見せていた。

小日向みのりと晴陽かりんをヴォーカルに迎えて歌ったのが、宝鐘マリンのカバー曲『Ahoy!! 我ら宝鐘海賊団☆』。冒頭から胸を熱く騒がせるギターの音色に乗せ、大きな幕を挟んで、晴陽かりんと小日向みのりが共にはしゃぎながら歌を共演。感情を熱く高ぶらすドラマを描く曲のように、3人がドラマチックな物語を描くように歌と演奏で共演する様が、とても印象的だ。猫音みるのギター演奏を旅を先導してゆく航海の旗印にし、3人が楽しい冒険譚をステージの上に描きだす。猫音みるの踊るようなギターのリフの上で、小日向みのりと晴陽かりんが楽しく歌を掛け合う様に、ずっと胸がドキドキしていた。ときにアドリブで刺激的な会話も折り込みながら、ずっとドキワクし続けるスリルと興奮にあふれたアドベンチャーな世界を魅せてくれた。3人の、息の合ったコンビネーションも最強だ。
ここからは、猫音みると小日向みのりとの共演のブロックへ。披露したのが、ホロライブの『GHOST』。荘厳な音色からの幕開け。この曲ではギターを持ち替えての演奏へ。小日向みのりの歌声へ寄り添うように。でも、みずからの癖の強いギターの音色を空へ解き放つように響かせ、2人は歌い奏でていた。気持ちをどんどんエモーショナルに染めてゆく楽曲のように、2人が、幕越しにとはいえ互いに心の波長を重ねあわせて歌い奏でる様に惹かれれば、小日向みのり自身の熱くエモーショナルな歌声と、どんどん攻撃性を増す猫音みるの演奏との饗宴に、誰もがすっかり見入っていた。
ここからは,猫音みるのオリジナル曲をコラボレート。踊るように、跳ねるように駆けだした『Command + D』では、ガシガシに攻める猫音みるのギターの音へ寄り添うように、小日向みのりも気持ちを攻めたモードに染め上げ、沸き立つ感情を歌声に乗せて高らかに響かせていた。この曲では、猫音みるがノンストップで繰り出す攻撃的なリフが、胸を熱く、ギラギラと騒がせた。猫音みるの熱情した思いが、指先を伝って演奏に反映。観客たちも胸を熱くし、拳を振り上げ、ステージの上へ思いを返していた。
続く『にゃん超えて犬より私派』では、猫音みるが得意とする開放的な旋律も交えた感情を解き放つ演奏で、この場にいる人たちの気持ちへ眩しい音と歌の輝きを降り注いでゆく。小日向みのり自身が、胸をときめかせて歌うことを楽しんでいた。甘えた素振りで歌う彼女のドキドキした思いに触れ、胸がキュッと鳴った。そこへ激しさを持った演奏で、猫音みるがときめいた刺激を与えてゆく。その様に触れた人たちみんなが、心をウキウキとした色に染め上げてはしゃいでいた。楽しい。ほんと、その言葉を素直に言いたくなる景色が、この場に生まれていた。

映し出された、新プロジェクト誕生の映像。その映像を受けて、猫音みる・小日向みのり・晴陽かりんがふたたびコラボレートし、新曲の『ハートの温度°』を届けてくれた。猫音みるの歪むギターの音色は激しいが、2人のヴォーカリストの歌声は胸をキュンと甘く揺さぶれば、明るく弾けていた。2人の交わす歌声に触れ、ハートの熱量(温度)がぐんぐん上昇してゆく、エモーショナルでメロディアスな、感情を熱くする明るい楽曲だ。この曲では、小日向みのりと晴陽かりんが振り続ける手の動きに合わせ、フロアでも大きく手を振る景色が生まれていた。この曲、なんといっても猫音みるのギターの演奏が胸を熱く、エモく騒がせる。
最後に、この3人で届けたのが、「welcome!僕らの世界へ」と歌う声から始まる『welcome!僕らの世界へ』。インスト時代には激しく攻めた曲を軸に据えていた猫音みるだが、ヴォーカリストを迎えた新プロジェクトでは、とてもドリーミーでファンタジックでハッピーなポップチューンを次々と披露。もしや、このハートをキュンと刺激しながら胸をキュッと鳴らすドリーミングなポップワールドが、これから広がっていくのだろうか?!夢をギュウギュウに詰め込んだワンダーランドで3人と戯れる世界が広がると思ったら、これからの展開が楽しみになってきた。もちろん、猫音みるのギターは、しっかりと歪みを利かせて攻めているからね。
PHOTO: れいらちゃん
TEXT:長澤智典
SNS
https://lit.link/mirumirugts