持ち時間7分の新感覚アイドルライブ『BREAKING LIVE』が開催。デビューしたての新グループ6組の参戦の成果は?

1組の持ち時間が僅か7分というアイドルイベント『BREAKING LIVE』が、4月23日に東京キネマ倶楽部で開催された。通常の対バンライブでは、お目当てを見たらすぐ帰る観客が多い中、アイドルたちが磨いてきたパフォーマンスを固定ファン以外にも広く見てもらう趣旨。総勢32組が目まぐるしく入れ替わった中で(一部は2回登場)、新グループのブロックで登場した6組のステージを中心にレポートする。

メドレーあり1曲集中ありで企画のぶっ込みも

ステージの後ろのスクリーンに出演中のアイドルのロゴが映し出され、持ち時間の7分をどう使うかはそれぞれの自由。5~6曲の触りをメドレーにするグループもあれば、1~2曲をフルで披露して自己紹介を加えて終わるグループもあった。

ブリオガジャはコーラを一気飲みしながら歌う企画をぶっ込んできた。Trebleは4分の曲を7分にアレンジして、メンバーがフロアに降りて走り回ったりもしながら、煽りに時間を取っていた。何にしても、7分経ったら曲やMCの途中でもカンカンカンとゴングが鳴り、強制終了となる。

趣旨の通りというか、名前も知らなかったアイドルたちを予備知識なしに眺めていても、興味を引かれて追い掛けてみようかと思ったり、1人のメンバーから目が離せなくなることはあった。

勢いと力技で観客を引き込んだAiver.

そんな中で、出演順の12~17組目の枠が「NEW!! IDOL GROUP SECTION」と銘打たれた。先陣を切ったのはAiVER.。4月1日にデビューライブを行い、6ヵ月連続リリース中の5人組だ。SEからスタートダッシュをかけるように「オイ! オイ!」と力を込めて煽りながら登場。ギターサウンドが轟き、連続リリース第1弾の1曲「Believer」へ。

「刮目せよ 我らがAiver.」と歌う、まさに名刺代わりのロックチューン。「はい、せーの!」からファンが返すコールも熱い。曲中でも「一緒に!」「もっと!」「まだまだ!」と盛んに煽って盛り上げていく。転調して速いラップでのメンバー紹介も。初見だと、片メガネの絵門未羽がまず目を引くだろう。

再び拳を突き上げて激しく歌ってキメると、間髪入れず「みんなで踊れ!」と2曲目の「CHEER」へ。今度は「回して回して!」などとダンスを煽りつつ、力技で引き込むようなパフォーマンスを見せる。新しいグループとはいえ、個々のメンバーはアイドル活動のキャリアがあるだけに、フォーメーションにも隙がない感じだ。

1コーラスを歌い、曲に乗せて告知もしっかりしたところでゴング。勢い勝負で7分をしっかり使い切り、絶妙なインパクトを残した。

和風路線で凛々しい疾風RUN舞

続く疾風RUN舞は青い衣装の5人組。横1列に並ぶと、スレンダーなメンバーが多い印象だ。ちょうど1週間前の4月16日に、同じ東京キネマ倶楽部でデビューライブを行ったばかり。日本レコード大賞の優秀作品賞を受賞のAAA「恋音と雨空」を作詞・作曲した岡村洋佑が、サウンドプロデューサーを務めている。

右手を頭上に伸ばす振りで歌い出したのは「疾風CROSS OVER」。シンセサウンドに和風のメロディが乗ったナンバーで、軽快に跳ねながら歌う。歌詞も「純情可憐に舞い踊れ」などと大和撫子っぽいが、ラップも入り、「疾風RUN舞」とグループ名も叫ぶ。ラスサビは「跳ぶよ!」と呼び掛けて、フロアを一体にした。

続く「疾風FIGHTER」は逆境から立ち上がる凛々しさを感じさせて、歌謡曲テイスト。だが、サビは英語詞で、無機質にテクノっぽく歌うパートも。2曲をフルで歌った中で、グループの方向性は少し垣間見えた。

ベールを脱いだオレンジの片割れのかわいさ

3組目のオレンジの片割れは、今年1月にメンバーを募集。元アンフレディアの音羽リイナと桜田恋糸も参加して、6人で結成された。4月11日からSNSで活動を始めて、この『BREAKING LIVE』がプレお披露目の第1弾となり、ベールを脱いだ。

グループ名通りのオレンジの衣装で現れ、「よろしくお願いしまーす!」と披露したのはステージデビュー曲「運命のキミ~オレンジの片割れ~」。軽やかで躍動感のあるアイドルポップスで、メンバーたちは笑顔でかわいらしく歌う。キャリアのある金髪の音羽も、新人に戻ったかのように見えた。

やはり最初のオリジナル曲だけにグループの名刺代わりになっていて、愛の片割れの運命のキミと「ぴったんこになりたい」との歌詞。メンバー同士、そして、観客と手を合わせるような振りもキュートだ。

MCの自己紹介ではたどたどしさもありながら、「お酒の強さなら誰にも負けません」(倉鹿野華純)、「猫パンチで会場にいるみんなのことをぶっ飛ばします」(湊まゆい)、「たこ焼き1000個食べられます」(瀧本彩菜)などユニークな個性ものぞかせた。

1曲だけのお披露目だったが、「大きな目標を持って、かわいくて元気な、みんなに愛されるグループを目指して頑張ります」とのことで期待したい。

にゃんにゃん歌った新世界ギルドールの萌えな世界

入れ替わりでステージに入った新世界ギルドールも王道アイドル衣装。こちらはメンバー6人それぞれの担当カラーがあしらわれている。3月24日にデビューライブを行い、1ヵ月になるところだった。

ピコピコ音から始まる「狙え!クリティカルヒット!」をテンポ良く繰り出すと、会場からコールが起こる。腕を左右に思い切りワイパーしながら歌ったり、にぎやかで楽しげなパフォーマンス。節回しが速くなったり「キュンキュン」と入ったり、アイドルソングでも萌え系アニソン寄りだ。

イントロなしで続けた「君にゃんチュール」は、にゃんにゃん歌いながら両手を丸めて猫ポーズを見せて、萌え感がさらに高まった。「寿司食べたい寿司食べたい」「チェキ撮ってチェキ撮って」などとも歌い、猫アイドルが甘えている感じも。広げた絵本の中に入り込んだような世界を楽しめた7分間だった。

精鋭が揃ったBe!Alertの力強い1曲

一転、警報音(アラート)が鳴り響き、会場に緊迫感が漂う。長いSEをバックに、Be!Alertのメンバー6人がステージへ。衣装のデザインはそれぞれながら、全員が黒と白をあしらってショートパンツ。

ソロや他のユニットでも活動している兼任メンバーたちで結成し、5月1日にKT Zepp Yokohamaでのイベントでデビューを飾る。この日と前日の秋葉原でのライブはプレデビューと位置づけられていた。

ステージ上で円陣を組んで「いくぞ!」と気合いを入れると、「夜ト林檎」を歌い始める。「死にたいって言葉は安心感」というシリアスな曲で、「腐ってんな」「消え失せろ」などと力強くも明るいトーンでたたみ込んでいく。精鋭たちが集まって漕ぎ出していく勢いも感じられ、1曲をじっくり聴き入らせたのはさすがだ。

RAiMEIは硬軟合わせた5曲メドレーで疾走

新グループセクションの最後を飾ったのは、白いレース衣装の3人組、RAiMEI。4月1日にステージデビューしている。

「僕らは共鳴して生きていく」との影ナレから登場し、ロックナンバーの「Day light」で拳を振り声を張り上げて1番まで歌うと、重みのある「Shake and Lips」のサビに繋げる。さらにドラムビートからノリの良い「Perfect Party」へ。

軽快に踊りながら、ツインテールの真白帆華は満面の笑みを浮かべて声もキュート、ショートの十はやてはクールめ、金髪の姫廻ひなはプリムを付けてドーリーな優雅さを漂わせていた。

メドレーはさらに続き、さわやかな「ブルー・スパークル」で疾走し、「最後まで盛り上がっていきましょう!」と、「ノーアイドル ノークライ」を間奏パートからドラマチックに歌い上げて締めた。MCなしの7分。矢継ぎ早に5曲のオイシイところを詰め込んで盛り上げ、今度は全部フルで観たい気持ちにさせた。

Text/斉藤貴志