メンバー総入れ替えの形で新体制となり、半年を経たCHERRY GIRLS PROJECT。今年1月からはワンマンライブ定期公演を予約先着50名様に毎月無料で行っている。4月23日には4回目を渋谷ClubMalcolmで開催。12ヵ月連続の中で2ndターンの1回目ともなったステージで、新曲の披露と重大発表もあった。
幼児風の衣装で明るい曲を軽快に
SEに乗り「クラップ!」とステージに入ってきたメンバーたちに、会場からどよめきが起こった。いつものグループ衣装でなく、1人1人別々の私服風……? 佳倉光里は赤いサスペンダースカート、宮凪莉央はおさげ髪にカーディガン、華本萌花に至っては幼稚園児のスモックに名札も付けて。何だ、これ(笑)?
歌ったのは、希望を届けるメッセージソング「君に花束を」。歌割りを繋ぎながら、伸ばした手を翻す振りを見せて、笑顔で楽しげな6人。続く定番の「神さま、お願い。」も後ろ手で軽快に跳ねながら歌う。薄紫のワンピースの蒔田逢乃は厚底ブーツで長身がより際立ち、サビのソロパートで力強さも見せた。
「ナキタイナ」も速いテンポで押していくが、どんどん悲しみの色を帯びていくようだった。そして、ポップなテクノ歌謡「ジレンマの因果性」ではまた弾ける。ドンガラガッシャン、バンバラバンバンと畳み掛けて、ツインテールにした安保朱珠は「にわとりが先か卵か先か……」との早口で長い台詞をまくしたてる。最後も「みんなでジャンプ行くよ」とフロアに呼び掛けて盛り上げた。
ちびまる子ちゃんのキャラクターに扮して
そんな感じで、前半は衣装にもそぐうように、明るい曲を中心に展開された。MCになり、華本が園児姿で「1stターンの動員目標100人を達成できました。2ndターンは目標が150人にアップしたので」と話したりしている間に、ハケたメンバーがランドセルを背負って戻ってくる。観客が笑い交じりでザワつく中、全員がランドセルを背にしたところで自己紹介に。
ランドセルも赤い佳倉が「私からしても良いかい?」と始めて、「ちびまる子こと、さくらももこです」と切り出す。おさげ髪の宮凪が「まるちゃんのお姉さんこと、さくらさきこです」と続けた。なるほど、そういうことだったのか。言われたらわかる(笑)。
黄色い帽子をかぶった華本は「たまちゃんこと、穂波たまえです」とメガネも装着。巻き髪ツインテールにリボンも付けた安保は、城ヶ崎さんこと城ヶ崎姫子になりきりつつ、メンバーには「品のない城ヶ崎さん」とも「一番当たり。かわいい」とも言われたとか。
広川珠姫が扮したのは、金髪ショートにうってつけの笹山さんこと笹山かず子で、カチューシャや胸元のリボン、ベージュに茶色の服まで再現したが、キャラクターの知名度がイマイチだったようで観客の反応は薄め。野口さんこと野口笑子に扮した蒔田は妙にロリっぽく、佳倉に「エッチじゃない?」とツッコまれた。「今日のワンマン、私は新曲よりこっちのほうが緊張しました(笑)」と話していた。
「私たち、まるちゃんずです!」と声を揃え、安保は「再現度は高い(笑)」と自画自賛。ちなみに、ランドセルはそれぞれが小学生時代に使っていた自前のものだとか。宮凪は自分のランドセルをボロボロと指摘されて「見ないで!」と言っていた(笑)。
それにしても、こうした企画やMCの掛け合いはワンマンならでは。3~4曲の対バンで強い曲が中心だと、特に佳倉は歌を引っ張る中でキリッとしているが、今回は持ち前のかわいらしさが出て微笑ましかった。
新曲の疾走感あるロックを熱く歌う
後半は衣装替えをして登場。タンクトップの上にシースルーのシャツ、黒のレザースカート。ここで予告されていた新曲の「ワンフェイト」を披露する。センターに立った宮凪がアカペラで「一度の運命 駆け抜けて ただみせる」と力強いロングトーンで歌い上げると、激しいギターが鳴り響き、蒔田から歌を繋いでいく。疾走感のあるマイナーコードのロックチューンだ。
「このままじゃ始まらない」「ひとりぼっちの世界で」「明けない夜はないはず」といった詞が耳につき、メンバーたちが熱く歌って胸を揺さぶる。初めて触れる観客も「オイオイオイオイ!」とヒートアップ。最後も宮凪が朗々と歌い上げて締めると、息を呑んだのちに大きな拍手が起こった。
新体制になってからは3曲目のオリジナル。蒔田は「アップテンポでヤバい。サビは一緒に踊れるので、この曲を皆さんと一緒に育てていきたい」と話した。
激しい曲でスパートして最後は笑顔でさわやかに
そこらからは3曲連続でスパート。頭を激しく左右に振る「絶望のナルシス」でドライブを掛けて、「盛り上がれー!」と「アンチエーター」へ。腕を大きく振ったり、パワフルな曲を続けながら動きが止まらない。ステージからハミ出そうな流れるフォーメーション。佳倉はポニーテールを揺らし、小柄な体からエネルギッシュな歌声を聴かせる。安保の響き渡るボーカルが要所で入るのも印象的だ。
「衝動のエモーション」はストリングスのイントロに全員で指揮をする振りから、しなやかに歌い始める。腕を回すサビで加速しながら、観客との一体感も高まり、体を屈めるヘドバンに合わせてコールも送られた。
新体制になって半年。ライブの場数を重ねて急速に進化した中で、オーディエンスを引き込む力は格段に上がったように感じる。そして、6人とも実に良い表情をしていた。
ラストは「I’m Alive」。新体制になって初の新曲だった、さわやかなポップロック。ひらひらと手を振りながら跳ねて歌い、広川の柔らかみのある歌声が映える。この青春感は今のチェリガのアイデンティティかもしれない。最後も6人が颯爽とした笑顔を見せてフィナーレとなった。
10月の新宿BLAZEを埋められるように
余韻が残る中、スクリーンで“重大発表”が行われる。まず、「三都物語2023」で7月6日の大阪梅田amHALL、7月7日の名古屋Renyに続く、10月20日の東京公演の会場が新宿BLAZEに。オーッと歓声が沸き、佳倉が「広い会場ですけど埋められるように、みんなに付いてきてもらえるパフォーマンスもするし、もっとチェリガの輪を広げていきたいと思います」と語った。
そして、6年ぶりとなる「チェリ-1グランプリ」の開催も。人気&実力No.1メンバーを決めるということで、詳細は後日発表。活動の全てを数値化するというチェリガならではの企画だ。旧体制のチェリガもこのチェリ-1グランプリの優勝者がその後もセンターを務めている。与えられたポジションでは無く、掴み取れ!ということだろう。
さらに、新曲「INSANE(インセイン)」を6月22日のメジャーデビュー記念公演にて披露。現体制になる前の昨年6月、メジャーデビューシングル「愛をちょうだい」のカップリング曲のひとつだったのを受け継ぐという。
この6人で始動してから、半年でここまで来たが、新生CHERRY GIRLS PROJECTはいまだ始まったばかりでもある。前体制があったからかフレッシュなグループとは受け取られないが他の結成半年のグループと比べても圧倒的なライブ数をこなしており、鍛えられている。実力的にはやはり頭ひとつ抜け出ている存在だがここからさらに支持を得られるのか?半年後には何を見せてくれるのか?どこまで行けるのか?佳倉は再び「盛り上げていきますので、ぜひぜひ付いてきてください!」と呼び掛けた。
Text/斉藤貴志