「お前たちが本当に俺たちを求めているなら、もう一度やってやらんこともない」。 D≒SIRE×Kαin。異なる時空が一つに重なりあった時…。  

 いつでも中心には、YUKIYAこと藤田幸也がいた。長大な音楽劇の第一章の物語として、衝撃的な幕開けを綴った「D≒SIRE」。19年に及ぶ物語を、現在も途絶えることなく綴り続けている「Kαin」としての(最終章となる)第三章。「JILS」として綴り織った第二章も、藤田幸也の歩みを語るうえでは欠かせない。三つの章の中で生まれた楽曲は、長大な物語の中、時空を超えて繋がりあっていることも、彼の物語を語るうえで大切な要素だ。

このニュースを目にしたとき、喜び、涙した人たちも多かったに違いない。ともに藤田幸也がコンダクターとなって指揮してきた三つの物語の中の二つが、時空を超えて遭遇した。

5月2日と3日の二日間、新宿ReNYの同じステージに2つのバンドが立っていた。「Kreis/Tokyo~転生前夜2026~」と題したこの日の公演に出演したのが、D≒SIREとKαin。D≒SIREのメンバーは、アルバム『終末の情景』の基盤を成した、シングル三部作のメンバーだった幸也/聖詩/橘舞已/秀朗/魅威。Kαinのメンバーは、最強の布陣と称されるYUKIYA/KAZU/KAZUYA/ATSUSHI。二つの身体を動かす心臓は同じでも、異なる分子たちが、時空を超えて一つに繋がった。そこで生まれた予期せぬ現象を、FCサイトに掲載になる文章から抜粋し、お届けしたい(KreisのFCサイトに、この日の模様を子細に記してある、興味のある方はご覧になっていただきたい)。

D≒SIRE×Kαinのライブは、2日間とも、先にKαinが行い、続いてD≒SIREがバトンを受け継ぐ形で行われた。両日とも、フロアは数多い人たちで埋めつくされていた。客層もKαinのファンを中心にしつつ、31年以上ぶりにD≒SIREと会いたくてチケットを手にした方や、伝説の存在を目にしようと訪れた人たちとで成り立っていた。

YUKIYA自身が全幅の信頼を寄せるメンバーたちと共に、みずからの音楽人生の全てを注ぎ込んで活動をしているバンドのように、Kαinの演奏に、YUKITA自身が絶対的な安心と信頼を持っている。
Kαinのライブは、今現在の一番リアルな姿与える曲たちを並べていた。初日も二日目も、前半部に、激しく畳みかけるソリッドでスリリングな曲たちを並べ、観客たちの気落ちを煽れば、後半には、二日間とも共通して、心を揺さぶる歌を並べてきた。
 以下に、Kαinの初日公演の模様の一部を記したい。

Kαin

 場内中に胸を優しく揺らす旋律が流れだした。『光』でYUKIYAは低音域の声を響かせ、言葉の一つひとつに命を注ぎ、その命を一人ひとりの胸に宿し、小さな希望の光にしていく。みずから綴った言葉に気持ちを揺さぶられるままに歌う。その言葉を受け止めたくて、場内から無数の揺れる手が伸び、YUKIYAの叫ぶ声に同じように声を重ね、ともに光を作り上げていた。ひと言ひと言をゆっくりと、そこに命を注ぎ込むように歌う姿も印象的だった。

 景色を塗り替えるように流れだした『theEPIC』の壮麗な音色に乗せ、ひと言ひと言をゆっくり吐きだすごとに、YUKIYAはそこに深い想いを込め、場内に撒き散らしていた。熱を帯びた、その生きた言葉を受け止めたい。間奏では、KAZUYAがYUKIYAと顔を合わせて演奏をする場面も登場していた。この曲でもYUKIYAは、本気の言葉で相手を抱きしめてきた。だからその声を、その思いを求めたくなるし、その歌声と演奏で抱きしめてほしくなる。

 「拳を」「声を」の言葉を合図に、魂のすべてを解き放つような開放的で躍動する演奏が飛び出した。最後にKαinは、ここまでの歩みの中に刻み続けた生きた証を思い返しながら、満員の観客たちと一緒に『証-akashi-』を歌っていた。YUKIYAはみずからが、そして、目の前にいる”君”が生きてきた証を、歌声のナイフで一人ひとりの胸に刻んできた。その思いを受け止めたくて、場内から数多くの拳の花が突き上がり、揺れていた。落ちサビで生まれた観客たちによる「燦々めく時よ 君と過ごした 奇跡のような 愛しい日々よ この胸にまだ 褪せることなく 綺麗なままで 輝いて」の大合唱。Kαinと、いや、YUKIYAと観客たちが心を一つにして声を張り上げ、熱情した思いを重ね合う。その景色が、たまらなく胸を熱くした。

D≒SIRE

31年の時を経て蘇ったD≒SIRE。それぞれが、今も不定期だがステージに立ち続けていることもあり、バンドとしての演奏の空白の期間は長かったとはいえ、完璧とは言い難いまでも、円熟味を持った姿を見せてくれた。選曲も、19995年にこのメンバーでライブ活動を止める以前に、よくライブで演奏していた流れにして届けてくれたのが嬉しかった。以下に、二日目の公演の序盤のD≒SIREのライブの模様を伝えたい。

ゆっくりと幕が上がると、そこには、1998年12月24日のD≒SIRE解散ライブと同じ衣装を身に纏った幸也を中心に立ち並ぶ5人の姿があった。
30年の時の針が左回りで一気に駆け巡り、一瞬にして現代へと繋がった。重厚でシンフォニックでエレクトロな音が流れる中、魅威のドラムと、クリーンな音を切り刻む聖詩のギターが鳴り響き、幸也が「Just Dreams Burn Down」と叫びだす。その声を合図に、『DREAMS BURN DOWN』が飛びだした。30年以上も前、D≒SIREのライブの幕開けによく描きだされていた情景だ。勢いよく楽曲が駆け出すのを合図に、場内から数多くの拳が突き上がり、声が張り上がる。誰もが、このときを待っていた。この景色にふたたびめぐり合った人、初めて触れた人、そこは様々だろう。でも、長い時を経ても。いや、時の隔たりなどは何も関係ない。デジロックの先駆けともいえるシンフォニックなビートと、沸きだす感情を抑えきれず、早鐘のように鳴る鼓動のビートとシンクロしながら、「君を 抱いていても 抱き締められていても 悪夢に駆られ脅えている Just Dreams Burn Down」と息せくように歌う幸也の声に触れているだけで、気持ちが奮い立つ。幸也の煽る声に合わせて、場内からも「Just Dreams Burn Down」と声が上がる。30年以上前よりも大きな会場で、熱情した想いをぶつけあう姿を見ていたら、終わること無い不安に苛立つ焦りを感じ、ぶつかりあい、一度燃え尽きたはずの火種が、いつしか燻りだし、こうやって、さらに大きな炎となってふたたび燃え盛り出したことに、ニヤリとせずにはいられなかった。
 
  止まることなく、切れ味鋭いギターの旋律と魅威のタイトなドラムビートに乗せて『SHADES』が飛び出した。ここまで、アルバム『終末の情景』通りの流れなのが嬉しい。いや、ライブを重ねて培った経験が、アルバムに反映されたと言ったほうが、ここは正しいだろう。勢いよく駆け出した演奏の上で、幸也が「通り過ぎていく時間の中 音の無い夜に叫んだ」と歌う声に触れるたびに、無性に気持ちが奮い立つ。あの頃から幸也は、絶望や悲しみを背中合わせにして、眩い光(未来)に目を細めていた。幸也自身の身体の中で駆け回り、膨らむもどかしい思いを、彼は、感情のほころぶ歌声にして響かせてきた。幸也のエモーショナルな歌声と聖詩の印象深い旋律を鳴らすギターの音が、楽曲の中で寄り添うように進みながら、刺激的なアンサンブルを作り出す。間奏では、聖詩と橘舞已のギターが異なる旋律を重ね合わせて異端なハーモニーを描き出していた。それこそが、D≒SIREらしいスタイル。重く唸りながらもメロディアスに揺れる秀朗のベースと、タイトな音を叩き続ける魅威のドラムの音も、胸を熱く騒がせた。

D≒SIREを知る者に取って嬉しかったのが、初日の最後の曲を『xxxBLUE』で、二日目の公演の最後の曲を『静夢』で閉じてくれたことだ。あのときは、まさにこんな心境だった。

 時空を遡ったライブも、ついに最後の場面へ。やはりD≒SIREのライブは、この曲を心に響かせずには終われない。温かいピアノの旋律が印象深いメロディーを奏で、そこへストリングスの音色が優しく重なりだす。魅威のドラムの音を合図に、聖詩のギターが胸を踊らせる甘い旋律を奏で出した。『xxxBLUE』だ。いつだって僕らは、あの甘酸っぱい旋律の香りに包まれながら、この歌を通して、壊れそうな互いの気持ちを支え、求めあうことで、きつく結ばれてきた。どんなにたくさんの悲しみに暮れる現実が目の前にあろうとも、ライブで『xxxBLUE』に触れ、幸也の声に合わせて、一緒に心の中でこの歌を口ずさんだとたん、心を晴れ渡る光で満たしていける。『xxxBLUE』を通して、彼らが側に寄り添ってくれる。ライブでその温もりを感じるたびに、傷ついた心が塞がれていく。幸也は、何度も歌っていた、「悲しみが 君だけをBlueに変えて 何もかも あきらめそうになったとしても 壊された破片の夢でも 抱き締めて このままでそばにいよう」と。その安心と温もりを、僕らはずっと記憶の中に封じ込めてきた。自分を見失いそうになるたびに、その記憶をたぐりよせては、気持ちを奮い立ててきた。だからこそ今、目の前で5人が伝える『xxxBLUE』を耳と目にし、一緒に歌わずにいられなかった。この日の5人は、あの頃の景色を取り戻し、ふたたび消さない記憶へ上書きするように、たとえすべてを失ったとしても抱きしめてあげるから、ずっと一緒に寄り添って生きていこうと手を差し伸べてくれた。
もちろんこの日の再会も、またすぐに現実が降りてきて、ふたたび記憶の中に封印されてしまうだろう。でも、僅かな時間とはいえ、あのときの記憶の続きが上書きされた。その事実だけで、僕らはまた未来を向けるし、彼らの言葉を信じて、躓きながらも歩いていける。

 きっとこの曲を通してD≒SIREと出会った人たちも多いだろう。時を忘れ、今も醒めない夢の中で戯れている人たちもいるだろう。D≒SIREが最後にぶつけたのが、『静夢』だ。美しくもセンチメンタルな音色が、会場中に優しく響き渡る。そこへ、甘く心をとろけさせる聖詩のギターの旋律が重なりだした。その瞬間に誰もが、痛む心を優しく抱きしめてほしくて、貴方を追い求めていた頃の自分に戻り、恋をしていた。「雨音に 何もかも 流されて 言いかけた 貴方の言葉 見失った」と刹那を歌う幸也の声に心を奪われた。何十回、何百回だろうと、この歌に気持ちを重ね、悲しみに打ちひしがれる心を、優しく抱きしめてもらいたい。『静夢』に触れながら、くすんでいた記憶の埃が取り払われ、気づいたら、あの頃のような、覚めぬ夢に溺れていた脆い自分の姿を巻き戻していた。だから、幸也と一緒に「重ねた口唇で」「伝えたい」「繋いだ指先で」「伝えたい」と歌声を交わしながら、この瞬間瞬間にずっと溺れていたくて、夜が開けぬ(終わりがこない)ことを祈っていた。「静寂に包まれて」と歌う幸也の声へ、観客たちが瞬時に「刹那の」と歌声を交わす。心が一つになったあの一瞬に触れたとき、涙腺が崩壊した。D≒SIREの音楽に触れたときから、僕らは演者と傍観者ではなく、ずっと”つがい”の関係だった。彼らが絶望の淵にたたずみ、悲しみに暮れ、涙を流し、嗚咽しながらも、大切な人との絆を支えに、その思いだけを信じて必死に一歩一歩踏み出していた。その姿に、世の中から阻害された自分の姿を重ね合わせ、同じ心の傷を負った仲間として、痛みを舐め合うのではなく、互いを支え合う柱にしてきた。それは、JILSやKαinにも受け継がれた想いだろう。でも、すべての始まりは…やはり、『静夢』だった。だから5人と僕らは、明けない夜の中、この歌を通して血が滲むほどの接吻を何度も交わしては、途切れぬ思いを伝えあっていた。いつまでも忘れられない 貴方のことを思いながら…。

D≒SIRE×Kαin

2日目の公演では、2つのバンドのライブを終えたあとに、D≒SIRE×Kαinとして、それぞれのバンドの楽曲を2曲ずつ持ち寄り、共に演奏してくれた。
けっして交わることがないと思っていた、異なる時空の中で生きている2つの異分子が、新宿ReNYというステージの上で一つに交わり合った。D≒SIREとKαin、両メンバーが舞台の上に居並ぶ姿は、本当に圧巻だった。

この日,幸也は「お前たちが本当に俺たちを求めているなら、もう一度やってやらんこともない」と述べていた。その言葉をきみを,あなたはどう受け止めるだろうか…。

PHOTO:逸見隆明
TEXT:長澤智典

INFORMATION

【SCHEDULE】
■2026年06月12日(金)六本木GT LIVE TOKYO(Kαinワンマン)
https://tiget.net/events/478770

■2026年10月10日(土)高田馬場CLUB PHASE(藤田幸也/無料ワンマン)
※近日詳細発表

【INFORMATION】
【藤田幸也オフィシャルHP】http://yukiya.tokyo
【藤田幸也オフィシャルX(Twitter)】https://x.com/YUKIYA1999

セットリスト

5月2日

Kαin

『新世界』(SE)
『NEW WORLD ORDER』
『BARREL』
『因果律』
『レイシー』
『Latency Sorrow』
『Re:MEMBER』
MC
『光』
『theEPIC』
『証-akashi-』   
SE Akashi

D≒SIRE

『Re_deem2026』(SE)
『DREAMS BURN DOWN』
『SHADES』
MC
『LEAVE ME』
『CURSE』
『人工楽園』
『JESUS』
『KISS』
MC
『xxxBLUE』
SE Re_quiem                                       

5月3日

Kαin

『Everything Flows』(SE)
『あいのうた』
『残月』
『Latency Sorrow』
『Re:MEMBER』
MC
『光』
『theEPIC』
『証-akashi-』
SE Akashi

D≒SIRE

『Re_deem2026』(SE)
『DREAMS BURN DOWN』
『SHADES』
MC
『CALL FOR YOU』
『LEAVE ME』
『CURSE』
『人工楽園』
『JESUS』
MC
『静夢』
SE Re_quiem

D≒SIRE×Kαin

『想刻』(SE)
『006』SE
『NUMBER SIXXX.』
『Inlandempire#02』
『KISS』
MC
『xxxBLUE』
SE east of eden