elfin’、CHERRY GIRLS PROJECTら総勢23組のアイドルが競演!『キネマの世界×選手宣誓』。光っていたステージをピックアップ

 昭和のグランドキャバレーだった面影が残る東京キネマ倶楽部で、アイドルフェス『キネマの世界×選手宣誓』が4月9日に行われた。主催のCROSS PRESSは23日に同会場で、“1組の持ち時間7分×60組が参加”という前代未聞のイベント『BREAKING LIVE』を開催。お目当て以外のアイドルたちのパフォーマンスも、多くの人に見てもらう趣旨だ。

 『キネマの世界×選手宣誓』は2月の『×入場行進』に続くもので、“7分間最強アイドル”を競う23日への流れもうかがえる。今回は各ステージ15~25分だが、23組が参加して午前中から夜までの1日がかり。その中で、特に印象に残ったアイドルのライブをピックアップしてレポートする。

elfin’が見せた声とパフォーマンスの美しさ

 開演早々の2組目に登場したのはelfin’。芸能プロダクションのオスカープロモーションと声優事務所の青二プロダクションのタッグで2014年に開催した『全日本美声女コンテスト』のグランプリ・辻美優らの4人組。今年初のライブだという。

 1曲目の「ユレル、クレル、ハゼル」からアップテンポのタイトな曲ながら、長いスカートを掴んで翻す振りなどエレガントさが漂う。指先の動きまで繊細で、「憧憬リフレイン」ではバレエ風に腕を広げてターンを繰り返したりと凛々しい。そして、何といっても売り物の歌声の美しさが光る。透明感があり、4人の折り重なるコーラスも聴き入らせた。

 「キネマ倶楽部の雰囲気にピッタリ」というポップなディスコチューン「Believer’s Disco」では、テクノダンスを見せる。ラストの「それが罪でも」は、1人が歌って3人が踊るフォーメーションで流れるように入れ替わりながら盛り上げて、優雅に両手を広げたポーズでキメ。最後まで“美”が漂うパフォーマンスだった。

新体制の躍動感が溢れるCHERRY GIRLS PROJECT

 続くCHERRY GIRLS PROJECTは結成が2017年で、ライブアイドルシーンで名を成し、メジャーデビューも果たしている。だが、昨年10月にメンバー総入れ替えの形で6人組の新体制になった。それからまだ半年ながら、全国ツアーを始め数多くのステージに立ち、精力的な活動を展開中だ。

 この日はメンバーが1人欠席の5人で臨み、軽快な「神さま、お願い。」でスタート。終始跳ねながら歌うこの曲に、にこやかな笑顔が浮かぶ。新体制を引っ張る佳倉光里は髪型を三つ編みに。半年で全員、パフォーマンスはもちろん、ビジュアルも洗練されてきたようだ。

 「僕たちの為に、あの鐘は鳴る」に「旅人であれ」と希望を歌う楽曲は、アイドルとして走り出した新体制のチェリガと重なり、青春のきらめきを感じる印象が強まった。華本萌花の艶のある歌声が、アクセントを効かせるようにもなっていて。

 最後は高速メタルチューンの「絶望のナルシス」。激しく頭を振って叫び、デスボイスも圧巻。迫力を見せて締めた。定番曲を中心に披露したステージは躍動感に溢れ、まだまだ伸びていく勢いが爽快だった。

正統派で甘酸っぱいキミのガールフレンドの世界

 “友達以上・恋人未満”を掲げるキミのガールフレンドは、白に黄色をあしらった清純な衣装の7人組。「キミはボーイフレンド」に「好きなひと」と甘酸っぱい恋愛ソングを続け、正統派アイドルそのものの振りもかわいらしい。歌はまっすぐでハツラツとしていて、特に結城小春は伸びやかなボーカルに猫目のキュートなルックスも相まって、華を感じた。

 メンバーの桜井夏凛が4月15日で卒業し、他のグループに移籍。この7人体制での活動はあと僅かという中でのステージだった。当日の朝に1週間ほどの大阪遠征から帰ったばかりで、臨んだとか。

 「みんなで一緒に踊れる曲になってます」と披露した「恋するMerry go round」は、ワチャワチャ感が楽しげ。ラストの「だってアイドル」は自分たちのアイドルとしての想いを歌いながら、腰に手を当ててステップを踏んだり、片脚ずつ跳ね上げたりと、王道の振りが全開。レトロなテイストを醸して、胸をキュンとさせる。この清々しい世界観はぜひ守り通してほしい。

ZERO PROJECTから清楚派の2組がさわやかに

 総勢200人以上を様々なコンセプトで振り分けて、5人1組でグループを結成。実力別の5段階のリーグで昇格と降格、再編成を繰り返しているZERO PROJECTからは、Z2リーグに所属する清楚派の2組、A2とB2が参加した。

 まずZ2-A2がテンポの速いポップロックの「準備OK」をエネルギッシュに披露。元ラストアイドルの宮田有萌はスラッとした美脚がミニスカートに映える。ベレー帽が似合う葉月りさこ、髪にメッシュを入れた真城ももも、他のグループから最後のチャンスを求めた転身組だ。

 続いて、Z2-B2が加わり10人で「プレゼント」をにぎやかに。そして、Z2-B2で「半径5cmのGALAXY」と、ノリの良い曲を目まぐるしく展開していく。キネマ倶楽部特有のらせん階段の上のステージに、メンバーが代わる代わる上ったりも。

 最後は再びZ2-A2が入れ替わり、ポジティブな「GET UP! STAND UP!」を張りのある声と元気いっぱいのダンスで魅せた。清楚派らしい明るいトーンの楽曲が並び、華やかさの後でさわやかな余韻が残った。

ブリオガジャはスリリングに突っ走る

 中盤を締めたブリオガジャはスリリングなステージを繰り広げた。“活発で陽気で明るく”と命名された5人組。ステージに入るや、「AKATSUKI」を強いビートに乗って一気に叩き込む。矢継ぎ早に歌割をリレーし、サビでは拳を天に突き上げて、ツインテールの朝陽レイナがロングトーンを響かせた。全員、気合いが漲っている感じだ。

 「一緒にクラップしてください!」と呼び掛けた「i hope×i wish」ではサイバー調のイントロで1人ずつダンスを見せてから力強く歌い出し、サビでは伸びやかに、拳を掲げながら跳ねる。さらに「ウリャホイ! ウリャホイ!」と勢いを付けて、デジタルチューンの「妄想ピピピ」で猛スピードで突っ走る。

最後は再び「AKATSUKI」。フロアを煽りながら突き刺すような歌を聴かせ、押せ押せで攻めていった。息を呑んだまま、あっという間に過ぎた嵐のような20分だった。

 メンバーのそらるるは7月23日に、10年続けたアイドルから引退。ブリオガジャとして最後のライブを、この東京キネマ倶楽部で開催する。

Text/斉藤貴志