CHERRY GIRLS PROJECTがエースの復帰ライブでメジャーデビューを発表

エモパンク&ロックを旗印に掲げるアイドルグループ、CHERRY GIRLS PROJECTがついにメジャーデビューする。昨年11月から休業していたエースの来瞳舞夢の復帰ライブとして、イベント『iColony LIVE PREMIUM』のトリを務めたステージで発表された。6月22日に第1弾シングル「愛をちょうだい」をビクターエンタテインメントから発売。重なる歓喜に沸いたライブのレポートをお届けする。

Text/斉藤貴志

来瞳舞夢が4ヵ月ぶりに圧倒的な存在感

 CHERRY GIRLS PROJECTは2017年に結成。メンバーの変遷を経て、現在は5人組で活動している。元BOØWYのドラマー高橋まことがレコーディングやライブに参加したり、インディーズシングル「幻日」がオリコンデイリー3位、ウイークリー21位に入ったりと、話題を呼んできた。

 東京キネマ倶楽部で2月23日に行われた『iColony LIVE PREMIUM』には、トリで登場。暗転したステージにSEに乗って入ってきた5人のシルエット。背中を向けて並び、「CHERRY GIRLS PROJECT、行きます」と、バイオリンのイントロからの「モンスター」でライブの火ぶたを切った。

 九瀬いむの静かな歌い出しから、4ヵ月ぶりに復帰した来瞳舞夢がセンターに立ち、凛とした表情で突き刺すようなボーカルを聴かせる。ブランクをものともしない圧倒的な存在感だ。そして、5人揃ってグングン迫ってくる勢いを見せる。2サビの来瞳の「モーンスターーー」のロングトーンのシャウトも力がこもり、「これぞチェリガ」と実感させた。最後も来瞳が「嗚呼ー嗚呼ーーーっ」と絞り出すように叫ぶバックで4人が踊り、1曲目から圧巻のパフォーマンスだった。

 続けて、高速ドラムの激しいビートに乗った「絶望のナルシス」。金髪の真志取みらい、メガネの真汐里緒とルックから個性的なメンバーたちがステージを目まぐるしく動きながら歌い、能守由逢は体を折って熱唱。九瀬の芯はありつつ柔らかい歌声も、来瞳のクールでシャープなボーカルとコントラストになって、互いにより際立つ。ヘドバンも入って、5人の気合いがさらに漲っていった。

メジャー第1弾は90年代のロックのカバー

 そして3曲目、九瀬が後ろ向きから振り返って歌い出す「神さま、お願い。」へ。内向的な少女の心情を思わす歌詞とエモーショナルなメロディ。5人は後ろ手に組んで左右に軽快なステップを踏んで歌っていく。ターンも頻繁に入り、飛び跳ねながら歌ったりもして、躍動感たっぷりに盛り上げた。

 MCでは、来瞳が復帰のあいさつ。「これから改めてCHERRY GIRLS PROJECTの一員として、全力で前進していけたらと思います」と語り、拍手を浴びた。

 さらに、九瀬から告知されていた“重大発表”が行われる。「私たちはビクターエンタテインメントからメジャーデビューが決定しました!」。再びの拍手にお辞儀をするメンバーたち。涙が浮かんでいるようにも見えた。

デビューシングルは、すでに昨年ライブで披露されている「愛をちょうだい」。ユニコーンのドラマー・川西幸一らで結成したバンド・VANILLAが1995年にリリースしたナンバーのカバーだ。音源制作にはVANILLAの元メンバーから、ドラムの川西とギターで作曲もした野山昭雄が参加。サウンドプロデュースもオリジナルと同じく岡野ハジメが手掛けた。発売は6月22日。

MVにはダイノジも参加とのこと。ツッコミの大地洋輔がエアギターの世界大会で優勝したことがあり、真志取が「チェリガもエアギターの世界一を獲りたいなと思います」と言うと、来瞳が「私がいない間にそういう目標になったんですか?」と笑ってツッコむひと幕も。

逆風の中で夢へ進む歌をドラマチックに

そんなトークから続けて、「愛をちょうだい」へ。ゾクゾクするようなイントロから、まさにエアギターの振りで大きく右手を回す5人。シンコペーションのアクセントが印象的なロックチューンに来瞳の歌声は特に映えるが、パートごとにメンバーの色が出て曲に広がりが出るのは、チェリガのカバーならでは。サビは拳を突き上げながらたたみ込み、照明の明滅ともシンクロして、シビれるほどのカッコ良さに息を呑んだ。

曲終わりのMCでは一転、なごやかな雰囲気で『三都物語-首都領域拡大作戦-』と銘打ったワンマンライブの『春の陣』について告知。3月24日にこの日と同じ東京キネマ倶楽部で九瀬軍(九瀬、能守)プロデュース、翌25日に大阪amHALLで来瞳軍(来瞳、真志取、真汐)プロデュースで開催する。“春”をお題にした企画や、九瀬と来瞳がそれぞれデザインしたグッズ販売もあるらしい。

最後の曲は「僕たちの為に、あの鐘は鳴る」。<世界中が不可能だって否定したってさ>と逆風の中を夢に向かって歩み出す歌が、メジャーデビュー発表直後だけに、よりドラマチックに響いた。笑顔を浮かべながらも力強く、抜けの良い声で歌い上げるチェリガの5人。ステージに円を描いて並んで走ったりと、全力のパフォーマンスにシズル感が飛び散る。ライブはラストで最高潮に高揚し、フィナーレとなった。

 この日も、真志取が「これからもCHERRY GIRLS PROJECTは壁や序列をぶっ壊していきます」とキメのフレーズを残していった。そんな挑戦的なコンセプトを掲げるチェリガが、いよいよメジャーシーンに打って出る。どこまでぶっ壊していけるのか、見ものになりそうだ。