Scarlet Valse、「揚羽蝶乃夢」のMV撮影の模様に密着!!

 先日、Scarlet Valseが「揚羽蝶乃夢」のMV撮影を、池袋にある廃墟型スタジオ「STUDIO VELONIKA」で行なった。「揚羽蝶乃夢」と言えば、Scarlet Valseのライブでは盛り上がりを作るうえで欠かせない楽曲。サビ歌では、観客たちが両手で揚羽蝶を作り、歌に合わせヒラヒラと舞い躍る様を作りあげていることでも有名だ。

 衣装に着替え、メイクを終えたメンバーたちが、撮影を前に機材のセッティングを行なえば、薔薇や蔦、赤く長い布など映像を彩る装飾を機材や空間の中へと施していた。メンバー自ら撮影環境を作り上げるのは、映像の中へ閉じ込めたい景色も含め、自分たちで演出するというこだわりからだ。撮影前に、監督と改めて撮りたい映像の内容を確認。カメラマンとは、フレームを通した位置決めを行なったうえで、本番の撮影が始まった。

 まずは、メンバー全員での演奏シーンから。流れる音に合わせ、銘々が妖しく身体を揺らしだす。感情をダイレクトにぶつけるライブとは異なり、MVでは大胆な動きを付けながら、どれだけ躍動した動きを出すかが大切になる。演奏中、You.とRinのギター陣がピックを持った手で様々なアクションを示せば、ベースのShianも身体を大きく動かし雄々しい様を見せていた。ドラムのYo-heyも、制限された中で、極力大きな動きを見せてゆく。ヴォーカルのKakeruは、舞台劇を演じるように、フレームから飛びださんばかりに華やかな姿で表現。マントを翻し、現世へ降臨する様や、大胆不敵に攻めゆく姿など、Kakeruの動きはミュージカル劇の一場面を演じるような様にも見えていた。
 二回目の全体シーンの撮影では、カメラのフレームの枠からはみ出さんばかりに、メンバーらは優雅で雄々しい動きを見せていた。激しくも妖艶さを持った楽曲のように、雄々しいだけではない、いかに優美さを見せるかも,撮影するうえで大切な要素になっていた。
 当日は、気温も低く、雨降りしきる日。撮影場所もコンクリートが剥き出しのように、意外に室内温度も低かったのだが、照明の熱や大胆な動きという理由もあるのか、カメラを止めるたびに、Kakeruが小さな扇風機で涼めば、他のメンバーたちも汗を抑え、メイク直しを行なうこともしばしば。Yo-heyに関してはサーキュレーションをまわしっぱなしだ。
 全体シーンの撮影は、カメラのフレーミングを変えながら、何度も繰り返される。そのたびに動きに華やかさが増していたのは、彼ら自身の感情に熱が籠もっていたからに違いない。

 全体シーンの後は、メンバー個々の撮影へ。まずは、ドラムのYo-heyから。用意したドラムはミュートしてあるとはいえ、叩き出したら自然とスナップの一つ一つに力が漲り、弾けた音を叩き出すところは、パワードラマーのYo-heyらしさ。全体シーンから立て続けにソロシーンへ突入したように、休む間もなくの撮影。でも彼に関しては、熱を抱いた気持ちのまま撮影に挑めたように、しっかりYo-heyの良さをカメラに収められたのではないだろうか。

 二番手は、Kakeruのソロシーン。彼の撮影にも、そのままYo-hey が参加。冒頭からKakeruは,妖しくマントを翻し歌いだせば、リップシンクしながら一つ一つの動きを大きく表現。むしろ,オーバーアクションにしてゆくことで、Kakeruが歌詞を通して伝えたい想いが、パフォーマンスを介してより伝わりやすくなっていた。カメラレンズをキッと見据えて歌うKakeru。映像には,彼の細かい表情も映し出されているはずだ。

 三番手を担ったのがShian。彼は突き刺すようにベースを構え、大胆不敵にせまっていた。横にはKakeruが、後ろにはYo-heyが。そう、このソロ撮影、メンバー一人一人増えてゆく形で進められていた。Shianのソロシーンでは、彼の表情や動きはもちろんだが、フレットを動きまわる左手や、弦を弾く右手の動きにも注目していただきたい。通常のライブ演奏のときとは違い、映像映えする動きを示していることに気付くはずだ。

四番手は、Rin。ここでは下手陣の撮影が中心ということから、Kakeruは休憩。Yo-hey・Shianを従えたうえでのRinのソロシーンという形で撮影は行なわれた。Rinは冒頭から、腰をグッと低く落とし、身体を大きく揺さぶりながら攻めた姿を見せていた。Rinも大胆な動きを示し、ときに腕を振り上げる姿も見せるなど、身体で「揚羽蝶乃夢」の魅力を伝えてゆく。ギターのフレットの上を滑るように動く左手や、大仰に弦を弾く右手など、見せる動きで演奏シーンを彩っていた。クールな表情ながらも、時折強い眼差しを見せる面にも注目だ。

 五番手は、You.。ここではYou.とYo-heyの2人で撮影を実施。Yo-heyは出ずっぱりだ。You.は、冒頭から身体をのけ反る姿を見せれば、ギターのリフをゴリゴリと刻みながら、つねに身体を反らすか、前のめりになりながらと、終始身体を大きく揺さぶっていた。You.のシーンの見どころは、みずからの手をヒラヒラと舞い躍る揚羽蝶に見立て、その様をサビ歌のときに披露していたこと。他にも、ギターソロ時の腕を使ったオーバーアクションなど、楽曲の見せ場や盛り上がりの場面に合わせた様々なアクションを示していたところは、ぜひチェックして欲しい。終始激しい動きだったせいか、最後に身につけていた薔薇がポロッと落ちてしまったことも伝えておこう。

 最後に、廃墟壁を背に、薔薇や蔦が垂れる中でKakeruのソロシーンの撮影。ここではハンディカメラとレールの上を走らせるカメラを同時にまわして実施。一人の舞台役者に成りきったKakeruの表情豊かで大胆なアクションを味えるのはもちろん。ハンディカメラを用いた映像を通し、どれくらい大仰なKakeruの動きが映し出されているのか、その完成が楽しみだ。Kakeruは他にも、薔薇や蔦を床中に広げ、そのうえで顔に揚羽蝶を付けた姿で寝そべるシーンも撮影。その姿や表情が、映像の中へどのようにインサートされるのかも見どころになりそうだ。

 「揚羽蝶乃夢」のMVが完成した暁には、この文章を読み返しながら、どんな風に映像が仕上がったのかを楽しんでいただけたらなと思っている。

PHOTO:A.Kawasaki(@a_kwsk_1985)
TEXT:長澤智典

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