新たな6人体制となったCHERRY GIRLS PROJECT。初ツアーのファイナル公演で1ヵ月の集大成を披露

メンバーの目まぐるしい卒業と加入で、3ヵ月前とまったく違う顔ぶれとなったCHERRY GIRLS PROJECT。6人組の新体制になったのが10月1日で、そこから全国8ヵ所を回った「GOLDRAIN TOUR 2022」のファイナル公演が東京キネマ倶楽部で行われた。1ヵ月での急成長ぶりが発揮されたステージの模様をお届けする。

Text/斉藤貴志

名前と名曲を受け継いで宿命づけられたハードル

 これまでもメンバーの変遷はあったCHERRY GIRLS PROJECTだが、短期間で全メンバーが入れ替わる形になったのは初めて。2017年の結成当初からグループの顔であり続けた来瞳舞夢も卒業した。だからこそ新体制の6人は真っさらなところから進んでいける一方、CHERRY GIRLS PROJECTの名前と数々の名曲は受け継いでいく。高いハードルを宿命づけられた中、初のツアーを回ってきた。

 そのファイナルの東京公演。ステージに現れた6人は横向きに1列に並び、フロアに身を屈める。ピアノのイントロにドラムビートが入ったところで立ち上がり、1曲目は「透明人間」。初ライブから歌唱力が際立っていたポニーテールの安保朱珠から歌い出し、抜けのいいヴォーカルが響き渡った。1ヵ月だけ先に加入してセンターに立つ佳倉光里が継ぎ、凛々しい歌声を聴かせる。

 閉塞状況での心の叫びを歌うこの曲は、2人のツインヴォーカルを軸に展開。サビでターンが繰り返される躍動的な振りとも相まって、一気に熱が込められていく。安保と佳倉が手を合わせて回りながら歌うのが見せ場になった。

 最後にまた6人が身を屈めたところから、間髪入れず「utopia」へ。円になり、クラシック調のイントロで広がって、厳かに踊り出す。また安保が歌い始め、後ろから宮凪莉央が腰に抱きつくパフォーマンスがありつつ、この曲は6人でパートをリレーしていく。サビは佳倉が熱く歌い上げた。

緊迫感を漂わせたステージに精悍なたたずまい

 緊迫感の漂う序盤。さらに、歪んだギターに6人が首を激しく左右に振って叫ぶ「絶望のナルシス」をたたみ込む。ほとばしる情念。目まぐるしいフォーメーション。斜め上を指差して両手を伸ばしながら跳ねる振りもお馴染みだ。継承すべきチェリガらしさが詰まった定番曲を、高速ドラムに乗って流麗に見せていく。デスボイスも入りつつ、軽快さを感じさせるのが、第4期となるこの新体制の持ち味か。

 華本萌花が叫んでキメると、暗転からのノンストップで、同じく定番曲の「モンスター」では光が差し込むようだった。さわやかな旋律で希望を見出していくニュアンスに、この日のセットリストでは閉塞から解放への流れが感じられた。

ヴォーカルを回しながら、サビの「モーンスターーー」のロングトーンは、また佳倉が歌い上げて締めた。彼女は8月に加入して以来、小柄ながらステージではどんどん精悍さを増している。

押せ押せで攻めながら笑顔も輝いて

 息もつかせず続くライブは、葛藤を歌う「アンチエーター」で激しくもうひと押ししたあと、「君に花束を」で明るいトーンに転換。こういう曲で輝きが高まるのが華本萌花だ。前向きさを広げるように全員でにこやかに歌う中、彼女の歌詞通りの華やいだ笑顔はひと際目を引いて、楽しい気持ちにさせる。2番のサビのソロパートも柔らかい声で歌い、本当にこの曲にハマっていた。

 「旅人であれ」ではステージ中央に4人が縦1列に後ろ向きで並び、上手に茶髪の宮凪莉央、下手にベレー帽の広川珠姫が立つポジションから、両端の2人が歌い始める。宮凪も広川もキュートな歌声で本領を発揮し、さわやかな旅立ちの曲を盛り立てた。サビでは全員が指で天を差しながら跳ねて歌い、観ていても体が疼いてワクワク感が高まった。

 立て続けに7曲披露して、ようやくMCに。だが、それも簡単な自己紹介と挨拶だけで終わり、安保が「ラストスパートも盛り上がっていきましょう!」と煽ると、すぐ曲に戻った。全員が後ろ向きになって、センターに立った安保から振り返って歌ったのは、キラーチューンの「神さま、お願い」。ジュブナイル感が溢れるアップテンポな1曲だ。

 ステップを踏んで立ち位置を変えていく中で、黒髪ロングで長身の蒔田逢乃がセンターに来ると、この曲がいっそう華やぐ。現役女子高生の彼女のまっすぐな歌声がマッチしていて。広川が踊りながらクシャッとした笑顔を見せるのも目についた。

 会場がさわやかな空気になったところで、切り裂くようなギターからの「幻日」へ。高速ビートとエモーショナルなメロディに、しなやかなダンスを見せて歌う6人。さらに、エアギターから大きく手を回して始まるロックナンバー「愛をちょうだい」で押せ押せで攻める。1人ずつ刺すように歌い、グイグイ迫って引き込まれた。

ラストの新曲2曲で崩壊から希望へ

 ステージはいよいよ大詰めに入る。荘厳なピアノのイントロからの「ブリーチ326」は、現体制初の対バンライブで初披露された新曲だ。波が押しては引くような異色のミディアムバラードで、「許されない許されない」「崩れてく崩れてく」と崩壊を歌っている。「326」が意味するものとは……。

重厚な曲にメンバーたちのヴォーカルも迫力を帯びた。腹にズシリと響く。長い髪を振り乱していた宮凪もハイトーンで熱唱。彼女はかわいらしい表情から、キメるところではキリッと鋭い目線を送るギャップが印象的だ。

 ついにラストナンバー。中央で体を寄せた6人から佳倉が言う。

「ステージに立って1ヵ月か経ちました。いろいろと言う方もいらっしゃいましたが、これだけは言わせてください。私たちがCHERRY GIRLS PROJECTです」

 頭サビで「忘れないよ 共に歩んでた時間を」と歌い出したのは「I’m Alive」。来瞳ら3人の卒業公演で、はなむけに披露された新曲で、「道はまた 明日へ繋がるよ」とチェリガを受け継ぐ決意も込められている。リズミカルにステップを踏んで、腕を左右にヒラヒラさせたりと軽快な振りで、思い出を抱き締めながら未来への希望を感じさせるフィナーレとなった。

クリスマスの2夜連続ライブも発表

 13曲をあっという間に駆け抜けたステージ。ツアーのファイナルであると同時に、春、夏と行ってきた『三都物語』の最後になる秋の陣でもあったが、春とはまったく別のメンバーでやることになるとは誰が予想していたか。

 新体制から1ヵ月でよくぞここまで……と言ったら、かえって失礼だろうか。プロとしてステージに立つ以上、キャリアに関係なく観客を魅了しなければいけない。まして、自分たちは始動して1ヵ月でも、佳倉自ら「私たちが」と言ったCHERRY GIRLS PROJECTの名を背負う以上、課せられたものも大きい。

実際、レッスンやライブの現場では連日、プロデューサーらの厳しい指導を受けているとも聞く。目指すものはまだまだ遠く先なのだろう。それでも、初のツアーで胸を打つライブが観られて良かったと、この夜の観客の多くに思わせたことは間違いない。

 ステージの最後には“緊急告知”として、12月24日、25日と連日のクリスマスライブが新宿SCINECEで開催されることも発表された。「満員にせよ」との指令も付けられていたが、未知の旅だからこそ楽しみも大きい。

CHEERY GIRLS PROJECT INFOMATION

・CHERRY GIRLS PROJECT公式サイト:https://cherrygirlsproject.com/

・オフィシャルTwitter:https://twitter.com/cgp_db

・オフィシャルYouTube:https://www.youtube.com/channel/UCCTvSTQ0N9YiANIFo8QsuXw